【キラキラ輝くレディース】広島市佐伯区 在住伊藤 文枝さん(81)
2020年11月27日
81歳記念に三倉岳登山
「挑戦することが好き」
81歳を迎えた10月、出身地・大竹市の三倉岳(標高702m)に1人で登った。物心ついた幼い頃から好奇心が人一倍旺盛で、体を動かすことが当たり前の人生。二十年前は、定年退職した記念に、山口県下関市から大阪府大阪市まで国道2号を二十五日間かけて歩き切った。
「当時、国道2号を歩いた男性はいたけど女性はいなかった。だから女性で一番になろうと思って」とほほ笑む。宿のない日は、浮浪者に交じって夜を越した。大型トラックの運転手に「乗せて行こうか」と心配されたり、オートバイの若い男性に「おばちゃん、頑張って」と声を掛けられたり。「日本人は優しいと感じたことがたくさんあった」と振り返る。
大竹市では山と川しかない田舎で育った。学校から帰ると、山へ行って虫を探したり、飼っていた馬に乗ったりして、日が暮れるのも忘れて遊んだ。母親が「お前は畳の上で死なない」とあきれるほど、家で過ごすことがなかった。「ありがたいことに、自然の中にいて、恐ろしいとか怖い思いをしたことがない」。自然から学び、自然を愛する。
学生時代、投てき選手として活躍したこともあって体が強く、男性にできることが女性にできないはずはないという信念があった。今でも少しハードルが高いぐらいの挑戦が心地良い。登山も、ちょっと無理して登らないといけない岩山のような難しい場所を好む。毎日近所を散歩し、週に1回は1万歩以上歩く。自然へ出掛ける準備をいつも整えている。
「人から聞いた話より、自分の目と耳で得ることが大切」と、気になったことは必ず自分で確かめに行く。「人に左右されない。自分の人生を一生懸命生きる」。傘寿を越えてもなお、目は輝く。