【廿日市市】命の源、水の有効利用や゛水行政″のあり方を通じて、生活環境見直しや自然環境保護を進めようという市民団体「水と緑を育む会」(青野健二代表)は十一日(土)、廿日市市中央公民館で「雨水利用実践講座」を開いた。同市在住の魚坂隆さんが、自宅で取り組んでいる雨水利用法を紹介した。また、青野代表が゛水行政″の現状を話した。
魚坂さんは、ポリバケツと物入れを使って、雨水を貯めておくシステムを自作。約一年半前から植木への散水や飼犬のトイレ洗浄などに利用している。
樋を伝わった雨水を一旦ポリバケツに集め、そこから物入れに貯めていく。経費は一万円程度、組立時間は二時間ほどかかった、という。雨水利用の際に心配される蚊の発生については、排水口やバケツの口に網を張ることなどで防止した。容器の容量や組み上げ方法など、まだ、検討の余地はあるが「家庭で利用するには充分」という。
青野さんによれば、雨水をうまく利用することは「各家庭に小さなダムを設けるのと同じ」という。
例えば、東京都の場合、年間降水量は一九五〇年代と九〇年代はほとんど変わらず一五〇〇ミリ程度でそのうち四百ミリほどが蒸発している。だが、五〇年代は五百ミリだった川・海に流れ込む雨水の量が九〇年代では八百ミリに増加。逆に地下への浸透は六百ミリ(五〇年代)から三百ミリ(九〇年代)に半減している、という。
コンクリート、アスファルト舗装などのせいで、雨水が地下に染み込まない。だが、企業により地下水が汲み上げられた結果、地盤沈下を起こし、再び雨が降ると水害に逢う、という悪循環も起こり得る。
「水不足になるとダムを造れという声が挙がる」と青野さん。だが、ダムは水確保の切り札たり得ない。「四年前の渇水時に、四国の早明浦ダムが干上がって、湖底が露出し、沈められていた建物が報道されたのは記憶に新しい」。また、ダムには山からの土砂が堆積する。「百年たてば砂が積もってダムは機能を果たせなくなる」、という。ダムで土砂がせき止められることで、河口の干潟もやせてくる。
利根川流域の矢木沢ダムの最大貯水量は一億七千五百八十万立方m。同ダムが東京都に供給する年間水量は一億二千六百万立方m。仮に都内の戸建て住宅を約百五十万戸で一個あたりの屋根面積を約六十平方m、年間降水量千五百ミリと想定した場合、一億三千五百万立方mを集めて利用できる計算になり、ダム一つが不要になるという考えだ。家庭で使用する水の三十%は雨水で賄うことができる、という。
設置に関する費用については、十立方mの貯水タンクを都内の戸建て住宅全てに無料で設置するのと、ダム一つを建設する費用はほとんど変わらないと説明した。
また、雨水=自己水源が身近にあることで、「水環境への関心が高まる」、「災害に強いまち」、「地下水の涵養=ヒートアイランド現象の緩和」などの利点が生まれてくる。全国的には、東京都墨田区などを中心に、雨水利用施設は増加傾向にある。
現在、八十余りの自治体が参加して、情報交換や研修をする「雨水利用全国自治体協議会」が設けられている。だが、中国地方からは一カ所も参加がないそうだ。
青野さんは「これまで都市に住む圧倒的多数の人は、水が不足すればダムを造ればいい。でも、自分たちの街に降る雨はうっとおしくて一刻も早くなくなってほしいという矛盾した考えだった。だが、少しずつ雨水利用などを通じて、動きが起きている。水問題は流域全体を考えていくことが必要で、一番大切なのは、雨水を受け止めることができる森林を蘇らせること」と締めくくった。
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