WEBタイムス 平成9年(1997年)10月03日 第500号
   

<介護は大変、玄関前に18mのリフト>

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玄関前のリフト
 【西区】広島市西区井口四丁目の田村彰さん(七〇)の玄関前には、写真のように長いリフトがある。門から玄関先まで、階段部分の十八m。電動式階段昇降機「楽ちん号」という。
 これを付ける二カ月前まで田村さんは、寝たきりの奥さん(七〇)を背負って、三十段を超えるこの階段を昇ったり降りたり。週三回のデイケアに通っている鈴が台クリニックまで行くのに、車庫のある階段下まで息を切らした。平地では車イスを使っているので、それを運ぶのにまた一往復。
 「これでは自分がまいってしまう」と、介護用品の展示会や介護商品の店を訪ね歩いた結果、クリニックの稲川章院長に相談にのってもらい、この方法に決めた。
 奥さんが寝たきりになったきっかけは、一昨年、旅先で階段から落ちたこと。帰宅してすぐにリハビリ専門病院に入院した。そろそろなら歩ける状態で入院したのに、そのうちに歩行は出来なくなった。おまけに別の病院を勧められて退院、そこでもはかばかしくないので、自宅で介護するしかないと、仕事を辞めた。
 「本人がもうちょっと治る気になってくれるといいんだが」とこぼしながら田村さんは、食事を作って食べさせ、掃除、洗濯、布団干し、おむつの交換、デイケアへの付添いと忙しく二人暮しを支えている。
 ベアリングが並んだレールの上にイスが載っている。イスの肘かけの先端に「上」「下」のボタンが付いている。押せば移動、放せば止まる。レールの最上端には別の操作盤があり、イスに乗っている本人が操作できなくても大丈夫。これなら家の中の階段でも、短いものを取り付けたら楽だろうが、なにしろこれで数百万円。仕事を離れた老齢でこれだけの出費は、さぞかし背に腹は変えられない思いだったろう。(ちなみに玄関部分改造の公的助成は設置前に届けて認められれば最高十万円)
 普通の生活にいつやってくるか分からない災難。長い間のパートナーに出来るだけ誠実に、そしてとにもかくにもこのリフトを備える力があってさえ、「厳しいなあ」と思わせる田村さんの姿だった。



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