| 2006年(平成18年)6月9日921号 |
【廿日市市】「早期完成を」、いや「是非を問う」―。廿日市市吉和で緑資源開発機構が計画している緑資源幹線林道(旧称大規模林道)大朝・鹿野線の戸河内・吉和区間について、同工事の是非を問う住民投票実施を求める署名活動が同市内で5月25日から始まっている。市民団体「細見谷大規模林道建設の是非を問う住民投票を実現する会」(金井塚務代表)が直接請求により同住民投票条例制定を求め申請した。一方、今年1月には地域住民などが集まり同区間の建設促進大会を開催、早期完成を求め活動していくと決議している。同機構は今月にも同事業期中評価委員会を開催し、今年度着工を予定している。
請求では、工事費が当初予算から膨らんでいるなどと指摘。さらに、環境保全、費用対効果、地元の要望であるのかの三点の疑問を挙げ、同工事が必要かどうか、納税者たる市民に判断をゆだねるべきと結んでいる。
環境保全に対しては、同区間で並走することなる貴重な動植物の宝庫細見谷渓畔林について日本生態学会が「いかなる種類の鋪装工事も(中略)渓畔林の衰退をもたらす恐れが強い」と中止を求めているなど挙げている。費用対効果については、完成後の森林整備計画が示されていない、完成しても一年の半分弱は通行できないなど、不明な点が多いとしている。
同所は多様な樹種で構成され、絶滅または準絶滅危ぐ種に指定されている動物が生息する。これまでも金井塚代表は「クマが豊かに暮らすことができる場所は県内ではほかにない。一定の距離を保てば上手に付き合える」と、機会があるごとに主張している。
市の見解では、「同機構が設けた環境保全調査検討委員会がとりまとめた環境保全報告書に自然環境保全の配慮がされており、報告書に基づいた工事であれば環境への影響は軽微」ととらえている。
同報告書によると、渓畔林部分は既設林道の拡幅をせず(車道幅三m)、湿地保全のため砂利を敷くなど透水性のある鋪装をし、拡幅部分についても、樹木伐採や土地の改変量抑制のため車道幅四m(同幹線林道の通常は五・五m)に設定している。
同区画の森林整備計画については、十方山林道周辺は人工林が大半を占め、間伐などの保育の必要性があることと、今後スギを中心とした人工林が成熟期を迎え適切な森林環境を保つ上で、間伐などの森林整備をする必要があるという。建設促進大会の決議書では、森林の適正管理と農山村地域の生活環境の向上、地域の総合的な振興を図るため早期完成による路網形成が重要とまとめている。
山下三郎廿日市市長は、旧吉和村時代から推進・促進活動があり、旧吉和村の有権者の大多数が林道の早期完成の署名をしたことを上げ、「環境調査保全検討委員会において議論された報告書に基づき、環境に十分配慮して事業が実施されるものと考えている」とコメントしている。
同事業は、一九七七(昭和五十二)年3月に実施計画が農林水産大臣により認可。九〇(平成二)年8月に、県から環境保全に留意した弾力的な設計を検討するよう要望が出され、同年9月に戸河内・吉和区間工事に着手。議論や調査、計画の変更がある中、二〇〇四(同十六)年、同区間の起点から十一・一m地点(二軒小屋)までが完成している。
署名は、6月25日までが収集期限。署名簿の提出、審査、縦覧などを経て本請求という流れになる。
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