WEBタイムス 2006年(平成18年)6月9日921号
 連載記事

干潮満潮

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▼雨にぬれた道沿いの緑は殊のほか美しい。Sさん(廿日市市在住の商社マン)は芸北山地・安芸太田町の八幡高原の山中に小さな山荘を有し休日にちょくちょく出かける。道順は吉和〜同町戸河内〜深入山麓経由で行く。このあたりは国定公園の第二種指定区域であり、調和のとれた秩序ある開発であれば許されており、思い思いの山荘など点在している。
▼道の両側には緑陰のなかで白色五弁の空木(うつぎ=卯の花)が見てとれ、また代掻き、田植えを終えた田んぼを眺めると心和む。今も唱いつがれる小学唱歌「夏は来ぬ」(佐々木信綱作詞)を思わず口ずさみながらハンドルを握る。
▼そのSさんが帰宅すると郵便受けに「細見谷林道工事の是非を問う」住民投票条例制定のための署名にご協力をと呼びかけたチラシが入っていた。芸北山地に出かけながら計画中の吉和〜安芸太田町・二軒小屋などへ踏み入れたことが無く、自然環境の保護か旧吉和村住民が望んで始まったという森林の整備・農業・観光振興のための林道かを判断する材料、知識を持ち合わせない市民が殆どであろうしにわかにイエス・ノーを問われても戸惑うばかりだろうと述懐していた。
 夕日いま卯の花垣に
 移りけり   平川巴竹


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