WEBタイムス 2006年(平成18年)3月31日912号
 行政

白糸川に砂防えん提  景観配慮 2基を新設  

ホームへ戻る目次へ戻る
写真
施工難所の1号砂防えん堤
写真
白糸川下流部
 【廿日市市宮島】廿日市市宮島町で昨年九月六日に発生した土石流災害から約半年が過ぎようとしている。弥山原始林には、約一万六千立方mの不安定土砂が現在も残っている。県は、白糸川に二基の砂防えん堤を設置する緊急砂防事業に取り掛かっている。上流の一号砂防えん堤は来年二月二十八日を、下流の二号砂防えん堤は今年十二月二十八日の完成をそれぞれ目指している。三月二十四日(金)には、宮島観光会館で住民への災害復旧工事説明会があった。
 土石流発生個所から下流に高さ九m・長さ四十三mの一号えん堤を、大聖院上流に高さ十m・長さ七十六mの二号えん堤を築き、それぞれ約八千平方mの不安定土砂を受け止める。一号えん堤のそばには、現在通行止めとなっている登山道と同じ幅一・五mの登山道を新たに長さ約百九十八mにわたり付け替える。工期日程は三月中旬からになっているが、実際の現場着工は四月初旬―中旬になる見通し。総事業費は約七億一千七百万円。
 景観に配慮し、両えん堤とも現地の石を活用し自然な形で乱積しコンクリート表面を覆う。周囲には、工事で掘削した樹木を移植する。
 両えん堤とも、「場所が場所だけに難工事が予想される」と広島県広島地域事務所建設局廿日市支局谷嘉文次長は話す。特に難易度が高いという一号えん堤は、ヘリコプターで重機や資材などを搬入、工事現場まで約八百mにわたりモノレールを敷く。通常のえん堤工事の場合、二五tクラスのクレーンを使うが、「大型重機が入れない」(谷次長)ため、三、四t程度のクレーンで工事を進めることになるという。加えて、六―七月の梅雨期、九―十月の台風期をにらみながらの工程となる。県担当者は「厳しい条件の中での工事で、どうしても物理的に難しいところもあるが、何とか頑張っていきたい」と話す。
 工事の一環として白糸川下流部を百八十五mにわたり整備にする。山下三郎同市長や大学教授、専門家ら九人で構成した「白糸川下流河道整備技術検討会」を設け、二月上旬と三月中旬の計二回会合を開き、方向性を打ち出した。
 基本コンセプトは、「“滝”と“清水”を表現した、平成の文化としての清らかな渓流空間の創造」。整備に際しては、川の自然環境を生かす、滝や淵、緩こう配区間を設け“動と静”の流れを創出、水辺の安らぎ空間の確保など工夫・留意点を置いている。委員からは、宮島七不思議の一つ「錫杖の梅」にちなみ、ウメの木を植樹してはどうかという案も出ている。宮島では一九四五年の枕崎台風で発生した紅葉谷川の土石流の際に、庭園砂防で現在の紅葉谷公園が誕生した。白糸川について谷次長は「紅葉谷川とは違った趣になる」と言う。
 昨年十月末に続く二回目の説明会には住民と、県からは同事務所をはじめ、砂防室や県教育委員会などが顔をそろえた。住民からは「住民の安全を第一に、重点的に考え造ってもらいたい」など要望の声が上がった。
 谷次長は「観光客に十分配慮し警備員も配備する。工事は長期間にわたり、作業車も出入りしほこりなどが立つなど住民の皆さんには理解と協力をしてもらいたい。えん堤が一日も早く確実に完成するよう努力したい」と話している。併せて、異常降雨や地震が発生した際には、川の状況などに注意し早めの避難を呼び掛けている。


記事の内容、及び著作権について