WEBタイムス 平成15年(2003年)1月10日755号
 連載記事

水に育まれしいのち―124「ケヤリムシ」

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写真
ケヤリムシ
潮だまりの岩陰に花のような物を見付け、手を伸ばすと花はパッと消え、後に管のようなものが残る。これがケヤリムシ。子どもの頃の印象に残る動物だ。
昔の大名行列の先導役のひげやっこが担ぐ毛槍に似た点から、この名があるが、英名はチューブワーム(管の虫)でこの動物の雰囲気が伝わってくる。つまり自分で作る棲管と呼ぶ管の中で暮らすゴカイの仲間だ。管中での生活も特異だが、頭部も特化している。釣りエサで馴染みの深いゴカイは頭にあごや強い歯があり、これでかまれると痛いが、ケヤリムシは退化し、触手や感覚器が頭を取り囲み花びら状で鰓冠と呼ばれる。
色彩にも変異があり、触れたり刺激を与えると一斉に管の中に引き込んでしまうが、しばらくして恐る恐るゆっくりと花を開かせるのだ。この色鮮やかな鰓冠は美しい飾りではなく呼吸やせつ餌、感覚器と様々な役割を持つ。
この仲間(環形動物多毛類)二つのグループがある。一つはゴカイのグループで家を持たず適当に砂に潜り、好きな時に出歩き大群で泳いだりするツピー族の遊在目。もう一つは、このケヤリムシのように砂や泥を粘液で固めて作った棲管にすむ定在目とがいる。
元宮島水族館 塩田昭仁


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