沿岸に茂る藻場に群れて生活。体色に変異があり黒褐色・淡い緑色・赤褐色など、えさや生息場所で違ってくるようだ。子どもを産む胎生魚。とはいっても哺乳動物のように母親のお乳で育つのではなく卵の養分だけで育つ。秋に交尾して半年近く母体内で育ち親と同じ格好で生まれ出る。初夏にウミタナゴを釣り上げた経験者は、体を跳ねながら薄いピンク色をした稚魚を産み落とすのを見たことがあるはずだ。
五―六月が出産時期。浅瀬に群れがやってくると漁師の網に大量に入る。メス親のはち切れんばかりのお腹には、約七センチの稚魚が数十尾も入っている。母体に雑然と収まり、出産時は頭から出てくるものも、尾から出るものとさまざまだ。
この時節、海に潜るとメス親の生殖孔から頭をピョコンと突き出した稚魚を見るが、産み放たれた瞬間、哀れにも同族に食べられてしまうことがある。
稚魚を食べようと執拗にメス親を追っかけ回す同族の姿は残酷なようだが、強く元気な種を残すために大切な一手段なのであろう。
妊婦が食べると難産しないとか、反対に逆子が生まれるからと言って妊婦には絶対食べさせない地方もあるという。
宮島水族館 塩田昭仁
学名…Ditrema temmincki
分布…北海道南部以南の日本各地沿岸
特徴…胎生魚で五―六月に稚魚数十尾を産む
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