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娘から母へ感謝の形がカフェに 営業は月四~五日でのんびりと

2019年12月13日
 自然豊かな山々に囲まれた廿日市市玖島で、ひっそりと看板を掲げる「muraのこもれびcafe」。店主の植村明美さん(57)が、生豆を焙煎し丁寧にドリップしたコーヒーを1杯300円(税込)で出している。営業は月に四~五日のみ。脇道の奥にたたずみ暖炉が店内を暖かく包むカフェは、娘から母への“感謝の贈り物”だ。

「きっかけは母のつぶやき」

 明美さんは三十七年間、教育関係の総務職だった。二年半前に早期退職したときは、カフェを営むとは想像もしていなかったそう。周囲にもカフェを開いたと言うと驚かれた。
 きっかけは、母・邑上多恵子さん(79)の生家のある同市玖島で、多恵子さんの知り合いが家を売りに出したこと。「買ってほしい」と頼まれた多恵子さんが、明美さんに相談した。2人は家族と同市阿品で暮らしているため、明美さんは当初「別荘なんていらない」と断った。
 多恵子さんは毎日、明美さんに「買ってほしいと言われる」とつぶやいた。拒み続けた明美さんだが、あるとき「玖島で畑仕事中の両親がボロボロの生家でひと休みしているとき、もし地震が起きたら私は一生後悔する」と気づき、購入を決意した。
 購入に至ったとはいえ、まだカフェは頭になかった。明美さんの夫のDIY好きが講じて、部屋の一部を自分たちでリフォーム。業者に頼み対面型のオープンキッチンを取り付け、リビングには暖炉を置き、家族がのんびり過ごすことのできる室内が完成した。
 新しく生まれ変わった家で多恵子さんが再度つぶやいた。「みんなに見せたい。コーヒーを飲みに来てもらいたいよね」。
 多恵子さんのつぶやきを聞き流していた明美さんだったが、偶然にも同じころ自家焙煎のコーヒーセミナーを受講。焙煎直後のコーヒーの飲みやすさに衝撃を受けた。「コーヒーをお出しするなら、美味しいものを飲んでもらいたい」と、カフェを開くことを決めた。
 趣味が多く多忙な明美さんが、店を開けることができるのは月に四~五日。それでも「仕事ばかりで自分の子育ても母に任せきり。お世話になったから」と、多恵子さんのつぶやきを形にすることで感謝を示した。
 多恵子さんは「地元の人は良い方ばかり。可愛がってもらっている。カフェがみんなのゆっくり過ごせる場所になったらいい」と目を細める。
 明美さんも「地域の方に喜んでもらえる場所になったら」とほほ笑む。「総務の仕事ばかりしていた自分がカフェをやっている。素人で不慣れだけど、接客は楽しい。人生、何が起こるか分からない」。目を輝かせ、新たなステージをマイペースに過ごしている。
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 カフェの次の営業は冬を越えた3月下旬~4月を予定している。店の情報はフェイスブック(@muranokomorebi)で確認を。
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